任意代理・委任との違い
任意代理・委任との違い
財産管理における委任とは、所有者本人に判断能力がある場合に、第三者に財産管理を委任する契約のことをいいます。財産の所有者を「委任者」、管理を委任される者を「受任者」として、財産管理委託契約を締結します。不動産の売却を委任するケースや、任意後見契約の効力発生までの間を補完する目的で利用されるケースがあります。また、自分の死後の事務処理を委任する場合もあります。
財産管理等の委任契約と、家族信託の違いは2点です。
1点目として、委任契約の場合、財産の所有権は委任者に留保されるので、委任者は委任後であっても、受任者に委任した事項について自身で処理することができます。不動産の売買仲介において、専属専任媒介契約という特約を締結した場合には委任者の自己取引は制限されますが、そのような特約がなければ権限は委任者に留保されます。一方、信託の場合には、所有権は受託者へ移るため、信託の効力発生後は、権限は委託者に留保されません。
2点目として、委任契約の場合、受任者はいつでも受任者を退くことができますが、信託の場合には、受託者の勝手な辞任は原則的に認められません。