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弁護士法人Martial Arts【第一東京弁護士会所属】代表弁護士 堀 撤兵

受益者

受益者

 信託契約の当事者・主体は委託者と受託者であり、受益者は信託契約の当事者ではありません。しかし、信託は「受益者のために」を本旨とするため、受益者は受託者に対して、信託行為に基づき信託利益の給付を受ける権利(受益債権)を有しています。そして、この権利を確保するため、受託者に対して帳簿閲覧請求や信託違反行為の差止請求などを行う権利も有しています。これらを総称して「受益権」といいます。

 下記に個別に紹介します。

受益者の権利

 受益者に対して、受益債権を確保するために認められている主な権利として、下記のものがあります。

・ 信託財産への強制執行等に対する異議申立権(信託法23条5項)

・ 受託者の権限違反行為の取消権(信託法27条)

・ 受託者の利益相反行為に関する取消権(信託法31条6項および7項)

・ 信託事務の処理の状況について報告を求める権利(信託法36条)

・ 帳簿等の閲覧または謄写の請求権(信託法38条1項)

・ 損失のてん補または原状の回復の請求権(信託法40条1項)

・ 受託者の法令・信託違反行為の差止請求権(信託法44条1項)

・ 裁判所に対する受託者解任の申立権(信託法58条4項)

・ 裁判所に対する新受託者選任の申立権(信託法62条4項)

監督

 上述のように、受益者はその権利を確保するため、受託者に対して帳簿閲覧請求権や信託違反行為の差止請求権などを有しています。ところが、受益者にそのような監督能力が期待できない場合、受益者を保護するため、受益者に代わってその権利を守る者を置くことができます。これが、信託管理人、信託監督人および受益者代理人です。

 これらの者は、委託者が信託契約の中であらかじめ設置しておくこともできますし、そのような定めがない場合でも、裁判所の手続きにおいて選任することができます。

信託管理人(信託法123条)

 受益者が現存しない場合(たとえば、将来生まれてくる子孫等を受益者として指定した場合)に、将来の不特定な受益者に代わって受託者を監督するなど、受益者が有する権利を行使する権限を持つ者を「信託管理人」といいます。したがって、たとえ受益者として指定されたのが生まれたばかりの赤ん坊であったとしても、受益者が存在している場合には信託管理人を置くことはできません。

信託監督人(信託法131条)

 信託は受益者のための財産管理の仕組みなので、受益者の要望を最大限尊重するのが受託者の役割です。しかしながら、受益者が必ずしも自分の要望を表明できるとは限りません。受益者が幼い未成年者である場合や、判断能力が低下した高齢者、障害者等である場合には、受益者自らがその要望を表明することや、受益者の意に反した信託事務が行われていないか受託者を監督することができないのです。

 そこで、信託の目的に照らし、受益者のために信託事務が適切に行われているか、受益者に代わって受託者を監督する立場の者を「信託監督人」といいます。

受益者代理人(信託法138条)

 遺言または契約における信託行為で指定され、受益者を代理する者を「受益者代理人」といいます。特定または特定の範囲の受益者に代わって、受益者の権利に関する一切の裁判上または裁判外の行為を行う権限を持っています。受益者が多数で迅速かつ適切な意思決定が困難であることが予想される場合などに、信託行為で定めます。

 信託管理人や信託監督人とは異なり、信託行為による選任に限られ、信託当事者などの利害関係人が裁判所に申し立てても選任はできません。また、未成年者または成年被後見人・被保佐人および当該信託の受託者は、受益者代理人にはなれません。

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