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弁護士法人Martial Arts【第一東京弁護士会所属】代表弁護士 堀 撤兵

活用事例⑦相続円滑化効果(相続人の急ぎの費用捻出)

活用事例⑦相続円滑化効果(相続人の急ぎの費用捻出)

妻と暮らしていた男性

 Aさんは、妻Bさんと暮らしていた男性である。Aさんは、引退するまで会社を経営しており、都市部の一等地に一戸建てを所有している他、預金が数千万円あった。Aさんは、前妻と結婚していた45歳の頃、当時23歳であったBさんと不倫したため、前妻と離婚している。

Aさんは、自分の遺産の中でも自宅不動産や、細々した動産などは、Bさんにそのまま遺したいという気持ちが強く「全財産を妻Bに相続させる」という遺言書を作成している。

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しかし、前妻の子であるCさんは、自分の父親を奪ったと感じて、常日頃からBさんを憎んでおり、これまでもたびたび衝突があった。Cさんは、亡くなったCさんの母も、Aさんに相当尽くしていたと考えているので、Aさんの全財産が、Bさんにいくことを承服しない可能性が高い。
Aさんは、自分の死後に、遺産相続をめぐり2人がさらに激しく衝突することをおそれていた。

そこで、Aさんは、自身の死亡後、Cさんが、遺留分減殺請求を行ったりすると、Bさんが対応に困るだろうと考え、今の段階で、どのように対処しておけばよいか弁護士に相談した。

これに対して弁護士は、このような状況の中で、Cさんの相続分がないような遺言のままAさんが死亡すると、BさんとCさんがトラブルになることは目に見えているので、遺留分相当額の金銭を長男Cに与える旨を遺言書に記載しておけばよいだろうと答えた。

そこでAさんは、すぐに、自宅不動産の不動産鑑定を依頼し、その不動産評価額に動産や預金等他の財産の価値を加えて算出した遺留分相当額(2000万円)の財産を長男Cに、残りの財産を妻Bに相続させる旨の遺言書を改めて作成した。

その後、Aさんは急死した。Aさんの遺言は執行されることになったが、Cさんは、やはり納得がいかないようであった。Cさんは、Aさんの遺言作成時に遺言能力がなかったとして、遺言の無効を主張した。また、仮に遺言が無効でなくとも、自宅不動産の価値はもっと高いし、他に財産を隠している可能性があるので、2000万円を相続してもなお遺留分が侵害されていると主張した。Cさんが、他に相続財産があるはずだと銀行に連絡したので、銀行はAさんの預金口座をすべて凍結した。

Bさんが、Aさんの口座から生活費を引きだそうとしても、Aさんの預金に関する手続きに必要な書類にCさんが署名押印しなかったため、預金を引き出すことはできなかった。Bさんは、生活費すらままならない状況で、葬儀費用も借入れざるを得なくなってしまった。

家族信託を活用すればこうなる
  • →相談者Aを委託者兼第一次受益者、
    妻Bを受託者、長男Cを第二次受益者として、
    信託財産を現金2,000万円とする。

    →妻Bは「委託者A受託者B信託口」という名義の口座を開設し、
    2,000万円を保管・管理する。

    →妻Bは、相談者Aの生前は相談者Aの必要に応じて相談者Aに対し、
    相談者Aの死後は信託契約に定める上限の範囲内で定期的に長男Cに対し、
    上記2,000万円の中から金銭を交付する。

    →遺言の効力が争われた場合や、
    遺留分減殺請求が行われた場合でも、
    相続開始前に当該信託財産については既に妻Bに名義移転しているので、
    妻Bは上記口座から金銭を引き出して使用することができ、
    当面の生活費は確保できることになる。
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