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弁護士法人Martial Arts【第一東京弁護士会所属】代表弁護士 堀 撤兵

活用事例⑥トラブル防止効果(自社株共有)

活用事例⑥トラブル防止効果(自社株共有)

会社経営をする男性Aさん

 Aさんは、会社を経営する男性であった。Aさんは、大学卒業後、飲食業経営を目的とする甲株式会社を立ち上げたところ、もともと商才に恵まれていたこともあり、事業は順調で、Aさんが60歳になるころには、飲食店の店舗数も相当数あった。もっとも、甲株式会社は上場している会社ではなかった。Aさんは、甲株式会社の株式を100%保有していたが、個人として特別資産価値の高い財産を持っているわけではなかった。Aさんには、Bさん、Cさんという2人の息子がいる。
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BさんCさんは、2人とも幼いころからタイプが異なり、たびたび衝突していた。Bさんは、幼い頃から父の事業を継ぎたいと経営学を専攻しており、社会人経験をしばらく積んだあと、甲株式会社に入社し、他の社員との関係も良好であった。

一方Cさんは窃盗事件を起こし、その裁判において情状証人となった父親が、今後はCさんを監督し更正に努めると裁判で誓約したのを機に、甲株式会社に入社したという経緯があり、勤務態度も真面目とは言いがたかった。

上記の経緯から、Aさんは、将来的にはBさんに会社を継がせたいと思っていた。ただ、Aさんは会社に愛着があり、また会社をここまで大きくしてきた自負と自信があったことから、元気なうちは自分が経営者でいたいと思っていた。

Aさんの甲株式会社以外の財産としては、資産価値がそれほど高くない自宅不動産があったが、これは妻のDさんに遺すことを決めていた。そうすると、息子2人に相続させるものとしては、甲株式会社株式しかないため、Bさんは、会社経営をBさんに任せたい場合に、どうすればいいのか弁護士に相談した。

弁護士は、会社経営者が保有する自社の株式を複数の相続人に分割して承継しなければならない場合、事業を承継しない相続人の株式を議決権制限株式にしておくことで事業を承継する相続人に、経営権が確保されることを説明した。

具体的に、議決権制限株式を発行し、Aさんが、Bさんに経営を譲ると決めた時点で、普通株式をBさんへ、議決権制限株式をCさんへ生前贈与すればよいと助言した。また、仮にAさんが現役中に突然亡くなった場合に備えて、Bさんには議決権制限株式ではない普通株式を、Cさんには議決権制限株式を相続させるという内容の遺言を作成しておくことを助言した。

ところが、Aさんはその後、まだまだ働けると思い、上記株式の生前贈与および遺言の作成を完成させないまま、突如心臓発作を起こして倒れた。一命はとりとめたものの、Aさんは寝たきりの状態になって、意識のない状況となってしまった。

甲株式会社は、新しい社長を決定することも、経営に関する重要事項を決定することもできず、経営が機能停止してしまった。

家族信託を活用すればこうなる
  • →相談者Aは、受託者を長男B、
    当初受益者を相談者Aとし、
    甲社株式のすべておよび相談者Aの預金債権の一部を信託財産とする信託を設定する。

    →相談者Aが生存している間は、
    甲社株式の議決権は、委託者の指図により受託者が行使することにする。
    そして、委託者が判断能力を欠く常況にあると判断された場合、
    または委託者からの指図がなかった場合には、
    受託者が委託者の指図によることなく、
    甲社株式の議決権の行使を行うことと規定する。

    →相談者Aが死亡すれば相談者Aの受益権は消滅し、
    長男Bおよび次男Cに第二次受益権が発生することとする。
    受益権化された株式の財産的価値は、
    次男Cにも移ることになるが、
    議決権は長男Bが保有することができる。
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